野菜における放射性カリウムの過剰集積とナトリウム吸収から推定した放射性セシウム対策のためのカリウム施肥の適正化
1.はじめに
セシウムの農作物への移行低減にはカリウム施肥が有効である。しかしカリウム資源の可採年数が100年余とも言われ、またカリウムには放射性カリウムが常に含まれていることから、カリウム施肥の適正化が今後一層必要となる。前回水稲のKとNaの吸収から水稲の最適K濃度を推定、最適K濃度はCs対策上も合理的であることを報告した。今回はカリウムを過剰に吸収しやすい野菜(葉菜)で、既存の資料をもとに同様の検討をおこなった。
2.試験方法
既存文献データーを野菜(葉菜)のカリウムとナトリウム濃度の関係に整理し、その変換点を最適カリウム濃度と推定して、市場流通の葉菜のカリウム濃度と比較した。
3.結果と考察
図1水稲茎葉のK2OとNa2O乾物%(1987)
図2コマツナのKとNa乾物%(1995)
図3ふだんそうK2OとNa2O乾物%(1998)
図4おかひじきのK2OとNa2O乾物%(1998)
野菜のうち特に葉菜はカリウムを過剰に吸収する。葉菜のカリウム濃度は最適カリウム濃度の2~3倍に達する場合があると考えられた。例えば市販のふだんそうではK40は360Bq/kgであるが、カリウム施肥を最適化すれば115Bq/kgまで低下できる。野菜の放射性Cs基準は100Bq/kgであり、葉菜の放射性Cs性削減のためのカリウム施用については、K40を過剰集積しないようにカリウム施肥の適正化も併せて必要である。
4.参考文献
Hasegawa・Yoneyama1995.Soil Sci.Plant Nutr,41,293-298.高橋英一・前嶋一宏1998.近畿大学農学部紀要,31,57-72.食品成分表2013.女子栄養. 長谷川ら1987.宮城県農業センター研究告,55,19-36.